前日から土曜日の天気予報は雨だから、どこにも出かけられないと諦め遅くまで起きていた。朝方5時頃から犬どもがうるさく目が覚めてしまった。なんと天気はまあまあか、日差しがある。これでは出かけないわけにはいかない。
さっそく山行きの支度を、といってもデイパックのなかは、食料品さえ調達すればいつでも準備OK!。途中コンビニで昼食を購入し、仙山線に乗り出発する。コースは、ここ数回はあまりの暑さに、標高の高い蔵王に行っていたが、そろそろ気温が下がってきたので、自宅から電車に乗って行ける面白山にすることにした。面白山高原駅から天童高原キャンプ場を経由し、長命水、三沢山山頂を経て北面白山山頂1264.4mを目指す。帰りは同じルートはおもしろくないので、カモシカコースを下り13時か14時の電車で帰宅する予定。
電車を降りると数人のトレッカーが下車するが、皆一つのグループのようだ。駅から車道で天童高原遊歩道を登る。いきなり急なコースに寝不足がたたっているのがわかる。しかも夕べは妻と飲みに行って、2kmの坂道を歩いて帰ったのだった。

天童高原キャンプ場に着くまでに既に汗をかいている。一休みしエネルギー補給を終わったところへ、先ほどのグループが車道を歩いて到着。(ちょっと遠回りのようだが、なんと車道を歩いてこれたのだった)天童高原から長命水までは、整備された広いトレッキングコース。ダブルストックをノルディックポールのように、足位置より後ろに着くことで、腕振りの力を動力に変える推進力を得るための道具として利用すれば、登り坂もすごく楽である。まあゆるやかな登りなのでストックなしで全然OKなんだけど、使った方が数倍楽だろう。
長命水から北面白山に向かうコースは、いきなり急な登りになる。急な登りもダブルストックは役に立つ。パイネのストックを使っているが、シャフトまでグリップが巻かれているので、長いままでも持つ位置を下げることでシャフトを短く使うことができる。要するに長さを変えないでも、長くも短くも使うことができる。急な登りでは、短く持つことで四つ足(4WD)に早変わりできるわけだ。これがあるおかげで急斜面をぐいぐい登ることが可能になった。三沢山山頂で小休憩をとり目の前に見える北面白山に向かう。ここはほとんど急な登りとなる。面白山山頂は、風が強く頭上を雲が流されていく。おにぎりを食べている間にも汗が冷やされ寒くなってくる。小休憩後カモシカコースを下り10分もしたころ、下からあがってきた方が、「この先にまむしが2匹いたので戻ってきた」ということでコースを変えることにした。一緒に最初の分岐まで戻り彼は山頂から天童高原へ向かった。同じコースは通りたくなかった私は、このコース変更で苦労するとも知らず、中面白山〜長左エ門平を周り帰ることにした。北面白山から中面白山はやせた尾根道を歩く。尾根はやせ細り冬なら踏み外しそうなコースである。

振り返れば、三沢山〜北面白山〜中面白山が見えている。中面白山から長左エ門平までは、だらだらな下りが続く。今回も下りにきて膝が痛み出した。8時から歩いているので、小休憩を入れてはいたが5時間歩いている。右足の親指裏が痛み出したが、どこにも安心して休憩できる場所がないので、坂の途中で座り込み、カットバンを張る。ときどき脚のストレッチを入れながら長左エ門平までやたら長く感じた。30分ほど余計にかかっている。

長左エ門からは下りも緩やかに、晴れていれば森林浴の気持ちよいトレッキングコースなのだろうが、途中雨が降り出し足場が急に悪くなった。しかもまだ日中なのにやたら薄暗い。渓流沿いの道で何度か河と交差する。薄暗いのでコースを見誤りがちだ。ピンクのテープがなかったら、きっと途方に暮れるかもしれない。もっと暗かったらきっとコースアウトしてしまうだろう。やはり日帰りといえどもビパークの備えがあった方が絶対に安心できる。食料も飲料もあと2回分ほど必要かもしれない。
その後コースは渓谷沿いに変化する。川までの高さが結構ある山斜面片側の細道を歩く。膝に痛みがある身では、その細道が結構不安である。案の定というか、途中道が崩れて山側にロープが張ってある箇所があった。おそらく他人と一緒だったら尻込みしただろう。誰も見ていないのを良いことにへっぴり腰で通過する。戻るのに1時間だったら絶対後戻りするだろう。もう後戻りできないからこそ通過できた道である。こんな場所が数カ所。しかも結構体の柔軟性が要求されるアクロバティックな箇所もあったが、体が柔らかくて本当に良かった。こんな箇所でも、体を支えるのにストックが役に立っている。吊り橋や橋が広くなることで、出口が近くなってきていることは想像できるが、それでもなかなか駅は見えてこない。
深い自然の中で、唐突に駅が見えてきたのは15時近くになってからだった。スタートから約7時間。その頃は既に足腰ガクガク。山のトレーニングは山で...とはいうけれど、少しずつ時間を延ばすなんてなかなか難しいことだ。結局三沢山〜北面白山〜南面白山と3つの山頂を尾根伝いに歩いたことになる。疲れるわけだ。さあ次はどこへ行こうか。