◆朝

今回新たに調達したスポットライト。ELPA DOP−013
他の機器と共通で、単四電池で使えるので、電池切れの心配もなくとっても便利だ。もう一つの照明はLEDで50時間ほど持つので、電池切れの心配は無用。しかしこの前本を読もうとしたら、手に持って居ないといけないのでNG。これはマルチクリップが付いていて、帽子などどこへでもクリップでき便利。しかも明るい。


十三湖

やがて、十三湖が冷え冷えと白く目前に展開する。浅い真珠貝に水を盛つたやうな、気品はあるがはかない感じの湖である。波一つない。船も浮んでゐない。ひつそりしてゐて、さうして、なかなかひろい。人に捨てられた孤独の水たまりである。流れる雲も飛ぶ鳥の影も、この湖の面には写らぬといふやうな感じだ。

前回夜に嵐におそわれた十三湖。今回もやっぱり風が強く車が揺れる。車中泊組もほかに1台だけという寂しい状況。十三湖のアサリを食べたいが、6時ではまだ店も閉まっている。

◆平舘不老不死の湯
いったん東海岸の平舘まで行って、「不老不死の湯」につかる。檜葉の香りがすばらしい。

◆平舘灯台

◆またまた十三湖
同じ道をもどり十三湖の「しじみ亭」でランチを食べる。


芦野公園駅

窓から首を出してその小さい駅を見ると、いましも久留米絣の着物に同じ布地のモンペをはいた若い娘さんが、大きい風呂敷包みを二つ両手にさげて切符を口に咥へたまま改札口に走つて来て、眼を軽くつぶつて改札の美少年の駅員に顔をそつと差し出し、美少年も心得て、その真白い歯列の間にはさまれてある赤い切符に、まるで熟練の歯科医が前歯を抜くやうな手つきで、器用にぱちんと鋏を入れた。少女も美少年も、ちつとも笑はぬ。当り前の事のやうに平然としてゐる。少女が汽車に乗つたとたんに、ごとんと発車だ。まるで、機関手がその娘さんの乗るのを待つてゐたやうに思はれた。

枯れ葉ではなく、桜が舞い散る頃に訪れたかった。

◆斜陽館

あらためて大きい立派な家だと実感。
雨に降られたため、白神山地へいけないのが残念。サイにブナの原生林と、荒々しい日本海とそれに沿って走る五能線を見せたかった。
今回の旅の中で、私は太宰の「津軽」を同時進行で読んでいた。十三湖で止まった晩に、ちょうど小泊で太宰がたけに合うクライマックスを迎えた。おかげで現実と小説が交差する不思議な旅をすることができた。
命あらばまた他日、津軽を訪れよう。